「今、ピンチだけど、逆にチャンスではないか」 演芸会の配信元年、芸人さんの思いは様々

文春落語オンラインで「柳家喬太郎独演会vol.2」と「落語のらりくらりvol.2」を観ました。(2020・06・06&07)

5月に配信された、週刊文春に連載の「川柳のらりくらり」の選者である柳家喬太郎師匠の独演会と、その連載のカットを担当していり紙切りの林家二楽師匠との二人会の第二弾。第1回のときは、配信スタッフも不慣れで色々とご苦労されていたけれど、今回はきっちりと修正して、技術的な問題もなく、また内容も満足度の高いものでありがとうございました。

2日間で、喬太郎師匠が「質問コーナー」でお喋りになったこと、そして、二楽師匠とトークという形でお喋りになれたことで印象に残ったことがあったので書き留めておきますね。

まず、6日の喬太郎師匠のお言葉。この自粛期間中、稽古も手につかない、気晴らしに飲みに行ったり、パチンコに行ったりすることもできない。最初は鬱々としていた。で、部屋にある圓朝全集とかを読み始めると止まらない、落語番組を観たり聴いたりすると楽しくてしょうがない。そうか、落語ファンに戻ればいいんだと、あるとき、気がついた。私は落語ファンから、本職になった。落語家として落語番組を観ていたけれども、落語ファンに立ち返って観てもいいのではないか。そう、気づいた。職業としての落語家と、落語ファンとを行ったり来たりすればいいんだ。それを繰り返せばいい、と思ったら楽になったんですね。

「毎日毎日、喬太郎さんのことを考えてしまいます。どうしたらいいのでしょう?」という視聴者からの質問に答える師匠。そのまま考え続けなさい。ただし、いいかい?ストーカーだけは困るぜ。遠くから見つめておくれ。僕たちは遠い遠いソーシャルディスタンス。申し訳ございません!ありがたいことでございますが、そんなことばっかり考えちゃうとバカになっちゃうからね。ほどほどがいいんだよ。喬太郎、扇辰、喬太郎、彦いち、喬太郎、白鳥、喬太郎、昇太、喬太郎、文蔵・・・みたいに考えればいいんです。温かいファンへのメッセージだった。

7日の二楽師匠とのトークでは、珍しく(失礼)真面目に、二楽師匠が「こういう配信はどうなっていくんだろう。こういう演芸の形もありかもと思うようになってきた」と。喬太郎師匠も賛同していた。「オンラインは残りますね。東京に来られない、地方のお客様が観ることができる。遠く海外からも観てもらって喜んでいる。特に海外の方は、日本の演芸に飢えているんですよね」と。二楽師匠、「今、ピンチだけど、逆にチャンスではないか」。御意!

ということで、2日間のプログラムです。

6日 柳家喬太郎独演会

喬太郎「ちりとてちん」「抜け雀」

7日 落語のらりくらり

喬太郎「綿医者」 二楽/紙切り「つつじ」「五月人形」「梅雨入り」 弟子・八楽と「アマビエ」と「ブースカ」 喬太郎「夢の酒」

また、来月あたりに配信があるかもしれませんね。その頃には、都内の寄席も100%とは言わないまでも、徐々にお客様が入れるようになっていることを願います。