兼好・阿久鯉二人会 神田阿久鯉「徳川天一坊 伊予の山中~山内伊賀之亮の加担」、そして集まれ!信楽村 柳亭信楽「撃たれた」「犬」

兼好・阿久鯉二人会に行きました。三遊亭兼好師匠が「熊の皮」と「小言幸兵衛」、神田阿久鯉先生が「徳川天一坊」から「伊予の山中」と「山内伊賀之亮の加担」。開口一番は立川悠幸さんで「初天神」だった。

阿久鯉先生の「徳川天一坊」は第三話と第五話。紀州平野村の修験者感応院の弟子、源氏坊戒行の悪巧みに加担する人間が徐々に増えていくところの面白さだろう。将軍吉宗の御落胤である証拠のお墨付きと短刀志津三郎兼氏を使って、天下を乗っ取ろうと狙う役者が揃う。

伊予の山中では、元水戸藩浪士の赤川大膳と藤井左京を戒行改め吉兵衛が偽の御落胤だと判っても、その度胸と品格を買って、味方につく。そして美濃国長洞村の常楽院で住職をしている大膳の叔父、天中坊日真を訪ねる。日真は元の住職を殺し、さらに弟子も殺すという悪党で、吉宗御落胤と騙る企みに加担し、吉兵衛を天一坊と名付ける。

そこに九条関白元家来の山内伊賀之亮が日真を訪ねてきて、これも味方に取り込もうと企て、御落胤の天一坊と対面させるが、伊賀之亮は一発でこれが偽物であることを見破る。天一坊は咄嗟の機転で伊賀之亮に対し、詫びを入れ、事の経緯を説明すると、弱冠二十二歳の天一坊の度胸に感服し、「その企ては成就するかもしれない」と味方につくことになる。

博学で知恵が回る伊賀之亮を参謀役に据えたことで、天一坊一行の策略は越前守との対決までズイスイと進んでいく…。第十四話「紀州調べ」から第二十話「召し捕り」まで、先日松鯉一門で俥読みしたアーカイブ映像が明日から配信されるのを観る予定なので、楽しみになった。

「集まれ!信楽村~柳亭信楽勉強会」に行きました。「撃たれた」「へっつい幽霊」「犬」の三席。

「撃たれた」は新作の蔵出しで、随分昔に作ったものだそうだ。「空気の読めない男」をユーモラスに、かつアイロニカルに描いていて面白い。

警察官ノダが錦糸町で犯人を追走していて、ピストルで撃たれた。殉死するかもしれない。そこに高校時代の同級生クドウが現れ、「偶然だね!」と再会を喜んでいる。テンションが高く、「野球部だったよね」とか、「シバタが結婚したらしいよ。相手は女子プロゴルファーだって」とか、「仕事は?警察官なんだ。夢が叶ったね」とか、久しぶりトークで独りで盛り上がっている。

ノダが「今、大変なんだ」と言っても、「仕事大変なんだね。痩せた?昔のまんまだよ」とクドウは返す。しかも、クドウも流れ弾が当たってケガをしているという…。挙句の果てには「ライングループ作ろう」とか提案し、「飲みに行こうよ。ジビエ料理の美味い店がこの辺にあるはず…」。徹底的に状況判断ができないクドウ…こんな奴はいないけど、こういうのに近い奴いるよね!というデフォルメが最高に可笑しかった。

「犬」。多分、聴くのは2回目だ。主人公はゴールデンリトリバーのジョン。飼い主に媚びへつらう方が犬としては楽なんだろうが、ジョンは犬として反骨精神を持っていて、ロックな人生ならぬ「犬」生を送りたいと考えているのが面白い。そう、ロッ“ケン”ロールなのである。

飼い主のタカハシがフリスビーを投げると、どうしても習慣として、それを取りに走ってしまう自分に疑問を持っている。だけど、ご褒美に貰えるジャーキーを食べたい欲望も一方であるというのが、正直で可笑しい。

偶然出会った犬のハチにバンドを組んでロックに革命を起こそうと誘われ、ロックはハートだ、ソウルだと仲間に入るジョン。ドラムを叩くチワワ、ベースを弾くスピッツ、ギターを弾くハチに加わり、ジョンはボーカルを担当。バンド名「イーヌーズ」は氷室京介の前座としてステージに上がり、観客に喝采を浴びるという…。この噺を聴いたクロマニヨンズの真島昌利さんに「くだらなくていいね!」と褒められたそうだ。イイネ!