雷門所縁のはなし 雷門音助「片棒」、そして二月文楽公演「勧進帳」

「雷門所縁のはなし六席~音助、真打へのらくご道」に行きました。雷門音助さんが「鈴ヶ森」と「片棒」、ゲストは三笑亭夢丸師匠で「意地くらべ」、開口一番は桂しゅう治さんで「転失気」だった。
「片棒」は大師匠の八代目助六の記録映像を国立演芸場に行って観て習得したとのこと。長男・金の盛大な弔いと、次男・銀の前代未聞で空前絶後な弔いを愉しく演じて面白かった。
金の弔い、通夜は二晩で、本願寺か増上寺で。一流の料理屋に頼んで、土産も付けて、漆塗りの三段重ねの重箱を丹後縮緬の風呂敷で包む。車代を一人二円。一人頭百円の費用で、1万3千人の参列者を見こんでいるというからすごい。
銀の弔いは紅白の幕で陽気に。鳶頭連中の木遣りではじまり、芸者の手古舞、山車はお父っつぁんに似せた算盤を弾いているからくり人形。神輿も出て、若い衆が揃いの浴衣でワッショイ。それに合わせて、神田囃子が明るくなったり、哀愁を帯びたり、音助さんが器用に口で奏でたのが良かった。そして、花火が打ち上がり、位牌が落下傘で落ちてくる。弔辞の後は万歳三唱。浅草のサンバカーニバルまで繰り出す派手さが愉快だった。
二月文楽公演第三部に行きました。「勧進帳」。
歌舞伎以上に武蔵坊弁慶の役どころが引き立つ演出で、主遣いの吉田玉助の熱演が光る。左遣いと足遣いも出遣いで、実力者が遣う。弁慶のためにあるような狂言と言ってもいいだろう。特に最後の花道での飛び六法の迫力はすごかった。国立文楽劇場での上演の際には花道が設置され、この演出ができるが、東京の国立劇場では花道が設置されなかったため、観ることができなかった。今回は国立劇場閉場ということで、神奈川芸術劇場での公演となったため、花道が設置されて、「花道付き勧進帳」が実現した。非常に皮肉ではあるが、首都圏では初の弁慶花道飛び六法が観られたのは幸運だった。
義経が「山伏に化けて逃亡」という情報を受け、加賀国安宅関の関守である富樫之介正広が厳しく詮議するが…。弁慶は何も書かれていない巻物を勧進帳として読み上げたり、富樫の問答にたじろぐことなくスラスラと答弁したり、弁慶の知略で何とか通行の許可を得る。ここも見どころだ。
だが、従者の義経を富樫が怪しみ、引き留められてしまう。すると、弁慶は義経をわざと金剛杖で強く打ち付け、見事に富樫の疑いを晴らす。無事通り抜けが済み、一行が安堵したところで、弁慶はいかに敵を欺くためとはいえ、主人を杖で叩いたことを涙ながらに謝罪する。ここも見せ場だ。
さらに、富樫がやって来て、先程の無礼を詫びたいと弁慶に酒を勧め、弁慶が豪快に酒を飲み干し、さらに延年の舞を踊る。ここも良かった。そして、最後の飛び六法。
還暦を迎えた玉助の円熟の技芸が輝く武蔵坊弁慶に終始圧倒された「勧進帳」であった。

