よせによせ

NHK総合で「よせによせ」を観ました。開発番組だが、今回で3回目の放送。浅草木馬亭の楽屋から桂二葉さんと春風亭一花さんが司会進行、今回のゲストは大人計画主宰の松尾スズキさんだった。
松尾さんは2019年の大河ドラマ「いだてん 東京オリムピック噺」で橘家円喬を演じたが、そのときに古今亭菊之丞師匠が落語指導をされたそうだ。新宿末廣亭に観に行ったこともあるし、舞台に上がったこともあるとか。
色物のめおと楽団ジキジキ。ご飯茶碗と味噌汁茶碗を使って、「おわん出せ、茶碗出せ」と♬聖者の行進を歌うのは洒落が効いている。ビートルズの♬レット・イット・ビーとイルカの♬なごり雪を同時に歌い、シンクロするのも面白い。鍵盤ハーモニカを頭で弾いて、♬ビューティフルサンデーも。これぞ、寄席芸だ。
一花さんの「駆け込み寺」。八五郎とお崎のおしどり夫婦ぶり、金原亭馬好師匠と一花さん夫婦を彷彿させて、好きなネタだ。特にお互いが「惚れて惚れられて、惚れられて惚れた仲」と臆面もなく町内の人々に言ってしまうのが気持ち良いなあ。
古今亭志ん生師匠の1955年の「風呂敷」をAIを使ってカラー化した高座。やっぱり志ん生は面白いねえ。「早くしろ!早くしろと言っているのに、遅くなる。耳が逆さまについているのか」とか、「そんな大きな声を出して。船を見送っているんじゃない」とか、「丸くなって寝ようが、三角になって寝ようが、私の勝手でしょう」とか。
「上げ潮のゴミ!すぐ、そうやって引っ掛かる」に対し、「ゴミの了見も知らないで」と返すやりとりもそうだし、「お前は女房なんかじゃない。シャツの三つ目のボタンだ。あってもなくてもいい」と亭主が言うのもそうだが、この夫婦は憎しみあっているのではなく、本当はお互いに惚れ合っているんだろうなあと思う。それは、馬好・一花夫婦にもあてはまるのかもしれない。
東京にこにこちゃんのコント(?)「麻由ちゃんの結婚」はちっとも面白くなかった。アンガーマネジメントがテーマなのか?!松尾さんがよく知っている俳優の卵らしい。
最後のお楽しみ、大喜利「勝手に吹き替え劇場」はいつも面白い。1960年のドラマ「ボナンザ―殺し屋兄弟―」より。林家きよ彦さんの「エアコン」が三人の中では秀逸だった。エアコンの設定温度を24度にする男に対し、女どもが「設定温度は28度だ。男は女の冷え性をわかっていない」とするのが可笑しかった。桂三四郎さんの「京都の旦那、滋賀の嫁」も関西人の価値観をよく表していて愉しい。京都人は滋賀を植民地と思っているが、その京都人が滋賀のアウトレットモールで買い物をしていたりするという…。挙句に「琵琶湖の水を止めてやる」の極め台詞が笑える。春風亭昇羊さんの「楽屋風景」はいまひとつか。ただ前座噺の「寿限無」をもじっているだけでパンチがなかった。

