新作落語せめ達磨 新春スペシャル 林家きく麿「パンチラ俱楽部」

「新作落語せめ達磨」新春スペシャルに行きました。

「楽しい山手線」古今亭駒治/「謎の親戚」弁財亭和泉/「黄金比」柳家花いち/「ヨイショチャージ」古今亭志ん五/中入り/「パンチラ俱楽部」林家きく麿/「節分の鬼」三遊亭天どん

駒治師匠。山手線の駅は皆平等なのに、そこに急行を走らせて停車する駅を限定するとしたら…という発想で擬人化するのが面白い。田端はJR東日本の本部があるから安泰とか、御徒町は松坂屋上野店の最寄り駅なのに「上野」を騙っているとか、代々木に代々木アニメーション学院はもうないとか…。日暮里と西日暮里の仲良し姉妹や大正13年開業なのに「新」が取れない新大久保やコロナ禍で誰も存在を忘れている高輪ゲートウェイも可笑しい。

和泉師匠。マー君ことマサオ45歳が法事の度に会って同じ話をされるんだけど、その「おばさん」が誰なのか正体不明なのが愉しい。マー君を抱いておもらしされた、マー君と海水浴に行ってウルトラマンの浮き輪を失くして「ウルトラマンの歌」を何度も歌わされた、トランプの七並べをしたのにハートのAが無くてじゃんけんで勝負を決めた…。おばさんが毎度繰り返す幼いときエピソードをのらりくらりとかわしていると会話が成立してしまうところが肝だ。謎のおばさんの話術の世界観を第三者的に高い評価をするマサオの妻のサユリの存在も良い味を出している。

花いち師匠。タカコがカルピスは氷2、カルピス1、水7だと言うと、ナツミが水は4だという。その2:1:7の比率は終電の新宿駅の黄金比、駅員、酔っ払い、野次馬。可笑しい。麺つゆは汁1、水8だと言うと、それは仮面ライダーとショッカーの黄金比だというのも笑える。ギョーザのタレは醤油1、酢1、ラー油2だというと、それは女子の体育館裏の告白の黄金比だという。告白する女子、される男子、見守る女子。世の中、何でも比率って大切だよね。面白い着眼点である。

志ん五師匠。ヨイショは地球を救う(笑)。学校で道徳の時間なのか、ヨイショに大切さを教える教師も可笑しいが、生徒の中に幇間の父を持つタマスケ君がいて彼のヨイショが実に上手い。そして、同級生のスズキ君がタマスケ君の家に遊びに行くと、電力はヨイショで発電する仕組みになっているという…。名付けてヨイショ電力。上手いヨイショは家庭を明るく照らすという…。いいね。

きく麿師匠。ヨシダさんが会社を辞めて家出をしてしまった。奥さんが手掛かりを探していると、本に挟まったチラシに「土曜7時、秘密喫茶集合!パンチラ俱楽部」とある。本棚の謎のボタンを押すと、パンティに関する本や「月刊デルタ地帯」が創刊号から揃っている…。亭主は「パンチラ」(もはや死語だが)が趣味なのか!という驚き。

パンチラ俱楽部の定例報告会で全員が唱和する「パンチラ七箇条」が実に可笑しい。①パンチラは神が与えた宝なり②パンチラは咲いては散る儚き桜のごとし③見えそうで見えないものにしがみつくことなかれ、無欲は最大の喜びを生む…という風に、あくまでも性犯罪ではない真面目なパンチラを趣味としているところが良いではないか。

パンチラ唱歌も愉しい。♬上目遣いはさりげなく、空を見上げてお宝掴めば、肩首回して疲れたふりだ、口元ニヤリとゆるめるな~。ヨシダさんは女子社員の制服がミニスカートからキュロットスカートに変更になったことに不満を持ち、会社に退職願いを出したのであった。コンプライアンス云々あるかもしれないが、こういう可愛いスケベ心には社会は寛容であってほしいと思うのだった。

天どん師匠。ひきこもりのタカシの部屋に福の神が閉じ込められたという噺。「豆なんか怖くない。金融の乱高下が怖い」という赤鬼、青鬼が可笑しい。