落語協会百年特別興行 吉例納涼住吉踊り

浅草演芸ホール八月中席二日目昼の部に行きました。今席の昼の部は落語協会百年特別興行、大喜利が吉例納涼住吉踊りという芝居だ。

「十徳」柳亭市助/「狸札」入船亭扇太/「生兵法」柳家小もん/ウクレレ漫談 ウクレレえいじ/「たけのこ」春風亭昇也/「新粗忽長屋」林家けい木/太神楽 鏡味仙志郎・仙成/「本膳」古今亭駒子/粋曲 柳家小春/「髪結新三」神田紅/「夏泥」三遊亭ときん/中入り/紙切り 林家二楽/「鍋草履」古今亭菊之丞/「真田小僧」三遊亭金馬/漫才 ロケット団/「替り目」三遊亭歌る多/「たらちめ」入船亭扇遊/奇術 小梅/「方言あれこれ」三遊亭円歌/「金婚旅行」春雨や雷蔵/漫才 すず風にゃん子・金魚/「長短」柳家小さん/相撲甚句 柳亭市馬/中入り/「モンキードライブ」三遊亭とん馬/「善光寺由来」古今亭菊春/浮世節 立花家橘之助/「浮世床~将棋」古今亭志ん彌

納涼住吉踊りは今年で46年目。そもそものはじまりは去年のブログに詳しく書いたが、要は寄席芸としての踊りを復活させたいと願った志ん朝師匠が落語芸術協会の雷門助六師匠(当時)にお願いして始まった企画。だから、落語協会百年特別興行と銘打った今回も芸術協会から参加している芸人さんが沢山いるのが特徴だ。

伊勢音頭~おいとこでスタート。今年は新企画としてお客様のリクエストに応えるというパートを作った。ビラを持った7人が登場、そこには「奴さん」「姉さん」「お客さん」「芸者さん」「お寺さん」「お角力さん」「赤穂浪士」と書かれている。そのうちの「奴さん」「赤穂浪士」を最初に踊ることだけは決まっていて、残り5つから客席の拍手で後の2つを決める。ちなみに、「赤穂浪士」を踊るのは2001年以来で、23年ぶりだそうだ。

拍手の結果、きょうは「芸者さん」と「お角力さん」に決定。さあ、誰が踊るか?「楽屋はてんてこ舞いですよ」と座長の志ん彌師匠。そして、芸者さんは金馬、紅、雛菊、小もん。お角力さんは、志ん雀、あまね、金魚、菊正、吉窓が見事に(?)踊った。

続いての太鼓持ち。志ん陽、円菊、雷蔵、翔丸が踊った後、志ん彌師匠が旦那役で登場。「幇間は自分の頭を扇子で叩き、そんなに面白いのか?他人の頭を叩きたいと思わないのか?」と言って、座興を始める。4人の幇間が各々旦那と相対し、ヨヨヨイ、ヨイ!の合図とともに先に手拭いで鉢巻をした方が相手の頭を叩けるという遊び。旦那に勝った者にはご祝儀を渡すという…。祝儀袋には渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎が一枚ずつ、計1万6千円が入っている!

鼻息荒く、4人の幇間が順番に旦那に挑戦するが、全員玉砕。そこに、落語芸術協会の刺客、三遊亭あら馬さんが登場し、旦那に立ち向かう。そして、巨大な張り扇で旦那の頭を叩くことに成功し、御祝儀をかっさらっていくという…。これも台本通りなのだろうが、見ていて楽しかった。

そして、恒例の新真打の紹介。来年3月に昇進する林家けい木さん。「名前は決まったの?」と訊かれたけい木さんは「きょうの午後2時から公募が始まるんです」。埼玉のFM放送NACK5の「ゴゴモンズ」という三遊亭鬼丸師匠がパーソナリティーをしている番組で視聴者から一般公募し、その中から決めるのだそうだ。いかにも話題作りが上手い林家木久扇一門らしい発想だ。

また、住吉踊りの新メンバーも紹介された。三遊亭歌実さん。鹿児島実業高校出身なので、「歌実」なのだそう。古今亭菊正さん。お父さんがロシア人のハーフ、「KGBじゃないの?」と志ん彌師匠に茶々を入れられる。ちなみに、東大卒!そして、奇術の小梅さん。最近落語協会に入会したばかりだが、腕があって華のあるマジシャンだ。

さつまさ~三社祭~深川。猪牙をホンキートンク弾、けい木、紅、昇也。駕籠を金魚、雷蔵、ホンキートンク遊次、小梅、仙成、にゃん子。坊さんをとん馬、金馬。

志ん彌師匠が雀の踊りをやるので、「ものわかりの良い、シャキッとした人」と踊りたいと言うと、袖から志ん陽師匠が出てくる。「成駒屋の芸だよ」に、「私は中村芝翫の弟子でチカンです」。その後も志ん彌師匠の「氏子の衆は合点かあ」や「これから先は顎合わせ」に対して、志ん陽師匠がボケをかましまくって、全く嚙み合わない茶番で大いに笑わせてくれた。

最後はかっぽれ。歌る多師匠→福助の格好をしたホンキートンク遊次→橘之助・花島皆子・志ん彌・ときん・菊春・左橋でバッチリ決める。刀の吉窓と傘の金魚の掛け合いも良かった。そして、皆が出てきて総踊りは壮観だ。

先日のにゅうおいらんずに続いて、住吉踊り。浅草演芸ホールの夏の吉例興行を大いに楽しむことができた。