きょんカフェ 柳家喬太郎「カマ手本忠臣蔵」
らくごカフェの「きょんカフェ」に行きました。
「つる」「時を越えて君のそばに」笑福亭茶光/「エルトゥールル号の遭難」田辺凌鶴/中入り/「カマ手本忠臣蔵」柳家喬太郎
茶光さんの新作「時を越えて君のそばに」、面白かった。アメリカ生活が長かった佐々木君はエンタメの中心は音楽であり、日本のJ―POPに関わる仕事がしたいとレコード会社に就職するが、配属先は落語の部署だった…。そして、ヒナタ亭ヒバチ師匠の凄さを上司から教えられる。ちなみにヒバチ師匠の金言は「落語がなけりゃ生きられない」。「NO MUSIC NO LIFE」みたいでカッコイイというのが可笑しい。
そのヒバチ師匠の十八番は「時そば」。年間600席も「時そば」を演じているという。そして、このほど10年ぶりに東京ドームで「時そば独演会」を開いた…。蕎麦屋の売り声がライブバージョンにアレンジされて「原曲が聴きたい」と思わせたり、「何ができるんだい?」にコール&レスポンスで「花巻にしっぽく!」と観客が応えたり…。出てくる丼、割り箸等には全て「時そば独演会限定オリジナルグッズ」と記されていて、どこまでも商魂たくましいのも笑える。そして、蕎麦を手繰る仕草のところ、「お前らも食いたいかぁ!」と叫んで、観客5万人が一斉に用意していた扇子で蕎麦を手繰る仕草をするという…。愉しかった!
喬太郎師匠の「カマ手本忠臣蔵」。刃傷松の廊下の真相。浅野内匠頭が吉良上野介に執拗に迫るところ、「キラさま!タクミと遊んで!タッくんと呼んで!」とか「最近冷たいんじゃない?伊達君ばっかり相手にして」とか、「お仕事ちゃんとしたら、遊んでくれる?」とか。阿久里との結婚は偽装、自分は老け専だと主張するところも笑ってしまう。
吉良邸討ち入りの真相。吉良側の小林平八郎が「赤穂四十七士は全て返り討ちにしました。討ち入りではなく、心中でした」と炭小屋に隠れていた上野介に報告し、「御首級(みしるし)頂戴します」。赤穂浪士は「忠でもなければ、義でもない、LOVE、愛のために死んでいった」、そんなことは武士として許されないという理屈で、吉良側の武士が赤穂浪士の装束を着て泉岳寺に凱旋するという…。
味方に首を討たれた吉良が墓の中で言う台詞に、現代を反映しているのが喬太郎師匠らしくて良かった。「あれから300年余り。男も女も関係なく愛し合える時代になったが…」。カマの痴話喧嘩という笑いにしないで締めるところ、流石である。