オッサン世代にも楽しめた紅白
大晦日に紅白歌合戦を観ました。なんだかんだ言いながら、大晦日の夜はどこにも出掛けずに、NHK総合テレビをつけていて、夜7時20分から11時45分まで、他の民放にチャンネルを変えずに見てしまう習慣が昔からあるのだ。
ここ数年の傾向として、時代の要請なのだろう、白組と紅組に別れているものの、勝敗を争うというような対決色がどんどん消えていっている。今年の司会は大泉洋、橋本環奈、それにスーパープレゼンターという名で櫻井翔、そして桑子真帆アナウンサー。だが、白組司会とか、紅組司会という肩書は廃除したようだ。それはそれとして、橋本環奈の流暢な司会ぶりには舌を巻いたなあ。カンペを読んでる感が全くない。かと言って、大泉洋のようなアドリブをかます司会ではない、あの安定感。紅白のプロデューサーも安心だし、これで桑子アナウンサーはリスク管理以外はほとんど役割がなくなってしまったが、これで良いのだろう。
で、4時間20分を通して感じたのは、最後の1時間半位が僕のような昭和39年生まれのオッサンにはフィットしてとても良かった。進行で言うと、加山雄三の引退特別企画「海 その愛」あたりから。この歌、1976年なのね。僕が小学校6年生。シングル曲ではなく、アルバム収録曲。この歌のセレクトというのもグッドだと思った。
安全地帯のドラムスの田中裕二さんが亡くなって、4人のメンバーで演奏する「I Love Youからはじめよう」もとっても良かった。何と、1988年の曲。昭和63年です。石川さゆりの「天城越え」は、紅白で歌うのは13回目だそうだが、何度聴いても痺れる。これ、1986年のヒット曲。最多出場の45回の貫禄と、色気が今もあるのがいい。
あと、良いと思った曲も皆、90年代だった。篠原涼子の「恋しさと せつなさと 心強さと」(1994)、ゆず「夏色」(1998)Kinki Kids「硝子の少年」(1997)。小室哲哉も久々にピアノ演奏で登場して、懐かしかった。
特別企画「松任谷由実vs荒井由実」、企画そのもの(「Call me back」)はそれほどでもなかったけど、その後にユーミンが歌った「卒業写真」に胸がキュンとなった。
トリのMISIA「希望のうた」も、福山雅治「桜坂」も、素晴らしかったが、白眉は桑田佳祐feat.佐野元春、世良公則、Char、野口五郎の「時代遅れのRock‘n Roll Band」だろう。66歳の同級生5人が集結し、コロナやウクライナ侵攻へのメッセージソングを創り、歌ったことはとても意義深い。まだまだオッサン世代はパワフルだぜ!と見せつけてくれた。おまけに、加山雄三リスペクトで「夜空の星」を演奏したのもとても良かった。
紅白は、こうした特別企画がどんどん増えていき、近い将来「合戦」の文字が消えるような気がする。大晦日ならではの音楽特別番組として生き残っていくんだと思った。