初席で初笑い
鈴本演芸場初席に行きました。正式に言うと、令和5年正月初席「吉例落語協会初顔見世特別公演」新春爆笑特別興行の第三部三日目。この第三部は主任が小三治師匠だった2012年までは欠かさず行っていたが、三三師匠にバトンタッチしてから途中途絶え、2016年から僕の恒例行事として復活して今に至っている。(2021年だけ記録にないけど、コロナ禍の影響があったのか?それとも個人的な事情か、不明)お正月らしい「おめでたい」気分を味わえて、その年の縁起を担ぐという意味で、浅草寺への初詣とセットになっている。
ジャグリング ストレート松浦/「平林」鈴々舎馬るこ/「みんな知っている」林家彦いち/音楽 のだゆき/「赤垣源蔵 徳利の別れ」宝井琴調/「お菊の皿」柳亭燕路/漫才 米粒写経/「長屋の算術」桃月庵白酒/「勘定板」五街道雲助/粋曲 柳家小菊/「たらちね」入船亭扇遊/中入り/寿獅子 太神楽社中/「初天神」春風亭一朝/ものまね 江戸家小猫/「茶代」柳家喬太郎/紙切り 林家正楽/「浮世床~将棋」柳家三三
ストレート松浦先生、中国独楽を使った多彩な芸当に拍手喝采。馬るこ師匠、唄に乗せないと名前が覚えられない定吉に対して、皆が色んなメロディで教えてあげるのがとっても愉しい。彦いち師匠、息子がエロ本を隠していたことを誰にでも喋りたくなる母親が可笑しい。
のだゆき先生、自分で“写楽の妖精”と呼ぶ不思議だけど、おめでたい衣装で登場。ソプラノリコーダーとアルトリコーダーの二本遣いで♬一月一日、鮮やか。鍵盤ハーモニカによるファミリーマート入店のチャイム、ファンファーレ風にアレンジしたのは初めて聴いた!
琴調先生、「徳利の別れ」をコンパクトにまとめる技術が巧み。燕路師匠、「冬らしくお化けの噺を」(笑)。米粒写経先生、お客さんのリクエストに応えて喋る“47都道府県の歴史”、すごい!岡山県は宮本武蔵、柴田錬三郎、内田百閒、長野県は佐久間象山、雷電為右衛門。居島先生の知識の膨大さに感嘆!
白酒師匠、これぞ落語!という長屋の住人の可笑しさ満載。雲助師匠、“運”がつく縁起の良い噺!小菊師匠、正月らしい都々逸。笹の小舟に松葉の船頭 乗せたお客は梅の花。扇遊師匠、本寸法のたらちねの言い立て。この長い方のやつ、滅多に聴けないので貴重。
寿獅子、3年ぶりにお客が御祝儀を獅子に渡し、頭を噛んでもらう恒例が復活!待ってました!とばかりに10人のお客さんが頭を噛んでもらっていた。一朝師匠、イッチョウケンメイ。団子の蜜を舐める回数が異常に多かった(笑)。
小猫先生、今年からの3年は受難の兎辰巳。この干支を、ヌー、アルパカ、テナガザルに変えてもらえないかと。でも、調査研究の成果でウサギの鳴き声を披露したのは流石。初春のウグイスや東天紅も聴けて、おめでたい。
喬太郎師匠、マクラでJアラートとジェラートの思い出二題。確かに音の響きが似ている!正楽師匠、鋏試しの羽根つきを切り終わって、渡すお客さんが現れる前に、「初富士!」と注文を叫ぶ無粋なお客に閉口。でも、優しい正楽師匠はニコニコしながらちゃんと初日の出と富士山を切り、あっぱれ。次の「今年の門松」も、ウサギに門松が隠し絵になっている見事な芸術を披露。すごい。
三三師匠、「浮世床」の将棋パートをこんなにも丁寧に演じた高座は初めて聴いた。将棋に夢中になる二人をからかおうと悪戯する周りの連中との対比が面白い。煙管の雁首同士、吸い口同士を繋げちゃう。それに気づかない二人。それを笑っている悪戯連中。愉快な一席でお開き。幸せな気分になった。