玉川太福先生、入門から丸15年という記念日の木馬亭月例独演会は大充実!

木馬亭で「玉川太福月例木馬亭独演会」を観ました。(2022・03・05)

木馬亭の月例独演会、第49回である。そして、この日が太福さんが入門してちょうど15年の日であった。2007年3月5日に、古俣太青年は玉川福太郎師匠に入門を志願し、認められた。丸15年。日本浪曲協会では、15年を節目に、弟子も取っていいことになるのだそうで、2013年に名披露目をしており、とっくに一人前の、噺家で言うところの真打クラスの芸人さんなのだけれど、なんだか目出度いのである。

特にゲストを呼ぶわけではなかったが、「15年祭」を謳った看板が木馬亭の前に立っていて、満員御礼の入りであった。そして、太福さん、いやもう、太福先生と呼んだ方がいいのだろう、この日の三席は充実していた!

まずは得意とする身辺雑記を浪曲にする一席目「北の国へ‘22」は爆笑モノだった。近所に大好きな温泉で有名な小屋がある富良野の仕事が残念ながらコロナでキャンセルになってしまったんだけれど、航空券は利用できるという先方からの連絡があり、折角だから独りで温泉を楽しみに行こうかと目論んだら…。なんだかんだで、自腹で家族で温泉旅行する羽目になってしまったという、太福さんのお人柄がうかがえる高座に。

二席目は出世作「地べたの二人」(これで浪曲ファンになったという若い世代も多いだろう)から、「十年」を15周年を引っ掛けて、「十五年」に改作した高座。ジャストぴったり=丸、という意味をめぐって、金井と齋藤が些細だけれども、ムキになってしまう微妙なやりとりが実に可笑しい。

中入りを挟んで、三席目は古典をビシッと!「紺屋高尾」。染物職人の清蔵の恋煩いをユーモアたっぷりに演じながらも、その純情にホロリとさせられるところが浪曲マジックだよなあ。

やはり、浪曲師にとって「15年」というのは大変意味がある数字らしく、今年は太福先生、相当気合いが入っているみたいだから、見逃せない。

ちなみに、4月の木馬亭月例は第50回ということで、ゲストに三遊亭萬橘師匠をお呼びして開催するらしい。

ますます楽しみな玉川太福ワールド、見逃せない一年になりそうだ。