【柳家喬太郎 新作も昔は古典だった】「極道のつる」
鈴本演芸場で「新作も昔は古典だった」八日目を観ました。(2021・07・18)
古今亭まめ菊「道灌」/柳家やなぎ「転失気」/のだゆき/春風亭百栄「寿司屋水滸伝」/春風亭一朝「芝居の喧嘩」/林家楽一/柳家わさび「反対俥」/古今亭菊之丞「悋気の火の玉」/中入り/ニックス/蜃気楼龍玉「夏泥」/ダーク広和/柳家喬太郎「極道のつる」
マクラの、ケーブルテレビで見たVシネ「痴漢日記5」に感激した話が印象に残った。小心者で痴漢仲間からは低く見られていたカメラ小僧が、一回り成長して、本当に好きだった女性がボーイフレンドと電車に乗っているところで、思い切って痴漢行為に及ぶという、センチメンタルな内容。BGMに、ザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」がとても良かったと。
で、本編。「ウルトラのつる」が出来てから、あまり「極道のつる」が掛かることがなくなったので、久しぶりに「バカなヒデ」に会えて嬉しかった。
稲葉組のおじきから、鉄砲玉のヒデは「知識を増やして」もらう。沖の意味が分からず、海の中間点とか、首の長い鳥?キリンですか?とか、滅茶苦茶可笑しい。ヒデの指摘、「ツーとは飛ぶと思うけど、ルーとは飛ばないんではないスっか?」というのに、合点。
中身のない蘊蓄こそ、中身のない稲葉組の鉄砲玉ヒデにピッタリで、喬太郎師匠のセンスに感服する。「誰かに教えてぇー」と歩きまわるヒデ。キリンがJALになったワケになっちゃうのも可笑しい。浜辺に立つのは「幕末」の老人で、坂本龍馬っていうのも笑える。
で、ヒデが稲葉組に戻ってくると、おじき達は有働組の襲撃にあって皆、倒れている。助っ人を頼んでいた梅原組からの電話の呼び出し音が鳴り響くだけ。血がツーと流れて、電話がルーと鳴って、「極道のつる」でした。