両極端の会 柳家三三「あとのまつり」三遊亭白鳥「聞こえてくるよ!丑三つ刻」

両極端の会に行きました。柳家三三師匠への宿題は「こんなお祭りがあるのか!?という噺」、三遊亭白鳥師匠への宿題は「今までやったことのないモノを擬人化した噺」。三三師匠は「あとのまつり」、白鳥師匠は「聞こえてくるよ!丑三つ刻」を新作ネタおろしした。

三三師匠の「あとのまつり」。高校3年生のサトウ君は文化祭で好きなユキちゃんに告白したいとナカムラ君に相談するが…。サトウ君は高校1年生のときも、高校2年生のときもユキちゃんに告白を試みて玉砕した前例があると指摘される。高1のときはお化け屋敷をやって、ゾンビの格好のままで「好きです」と告白して怖がられ失敗。高2のときはドッキリカメラをやって、告白そのものがドッキリだと思われて失敗。今度こそと意気込むサトウ君にナカムラがアドバイスする。

今年の出し物は「あかね噺」で人気の落語会。ここでカッコイイ高座姿を見せた後に、後夜祭のキャンプファイヤーを囲んだダンスに誘って、そこで告白しようという作戦だ。落語会にサプライズゲストに人間国宝で文化勲章受章者である三遊亭白鳥師匠を呼んでいるので、ユキちゃんがサトウ君と後夜祭に行くように仕向けてもらおうと白鳥師匠に頼むことにした。

サトウ君は落語会で林家きく麿師匠の「スナックヒヤシンス」を披露。そして、白鳥師匠は「隅田川母娘」を演じてくれた。ユキちゃんは「スナックヒヤシンス」のヤマダが自分のお父さんそっくりで可哀想と思い、それに引き換え、「隅田川母娘」では愛子さまに自由を与えて遊ばせてあげる優しい人だなと感心した。

落語会の終わりで、ユキちゃんが白鳥師匠に花束贈呈の役を任される。ユキちゃんが「隅田川母娘」に感動したことを伝えると、白鳥師匠は「昔は古典落語しか認められずに苦労した。でも、頑張って落語界に新しい地平を拓いていった」と話すと、ユキちゃんはさらに感動する。

白鳥師匠が頼まれた通りに、「後夜祭に行ってサトウ君と一緒に踊ってあげてなさい。サトウ君はユキちゃんのことが好きなんだ」と伝えるが、ユキちゃんは意に介さない。血の滲むような努力をしてきた白鳥師匠は素敵な男性。それに引き換え、サトウ君が演じたヤマダは父親と重なり魅力を感じない。ユキちゃんは「偉ぶらない白鳥師匠が一人の男性として好きです!あなたをもっと知りたい!」と接近する。

後夜祭のダンスは終わってしまった。待っていたサトウ君が教室に戻ると、置手紙が。「私、これからは白鳥さんと共に生きていく」。白鳥師匠も「白鳥は北に帰ります」。ああ、直接ダンスに誘えば良かったと後悔するサトウ君だった…。三三師匠が自らの高校時代の文化祭の思い出を基に、「人間国宝」三遊亭白鳥を登場させて抱腹絶倒な一席。楽しかった。

白鳥師匠の「聞こえてくるよ!丑三つ刻」。何と、落語のネタを擬人化するとは!その発想の柔軟性に感嘆した。「芝浜」と「子別れ」が自分たちはいつもトリのネタで嫌になる、たまにはサラ口に上がりたいと愚痴をこぼしているのに対し、「寿限無」が俺は前座噺、人情噺としてトリを取りたいと強く願望し、「〇〇由来の一席でした」という終わり方に憧れるのが面白い。

そこで、「寿限無」に「噺家に神が舞い降りて、勝手に喋り出す」魔法の呪文を掛けると…柳家三三師匠が今までに聴いたことのない高座を展開。魚勝に赤ん坊が生まれ、「寿限無…」という長い名前を和尚さんに付けてもらう。魚勝が弔いに行った帰りに吉原に寄り、居続けをすると、女房が怒りだすので、息子寿限無と一緒に叩き出す。寿限無は酷い父親を憎み、自分が魚屋に奉公し、やがて棒手振りになる。

だが、母親が病に倒れ、医者に「五十両する薬を飲まないと治らない」と言われる。寿限無は早朝、河岸に行って芝の浜で革財布を拾うが、中は小判ではなくコバンザメ(笑)。名付け親の和尚に相談すると、「お前の名前は縁起がいいのだから、名前を売ればいい」。ヤブラコウジは寺の名前に、寿限無は越後屋の番頭の暖簾分けした店名に、後光の擦り切れは瓦版屋に、食う寝る処に住む処は宿屋に…という風に自分の名前を切り売り。海砂利水魚は佐渡金山奉行に、シューリンガンとグーリンダイは力士に四股名に、ポンポコピーとポンポコナーは狸に、長久命は医者の薮井竹庵に売れた。こうして、50両が貯まり、薬を買うことが出来て、母親は全快した。

その母親が息子に言うには「長介だけは残しておきなさい。そして、子々孫々に伝えなさい」。そして、子孫が代々長介を襲名した。その末裔がコミックバンドのドリフターズのリーダーとなる。いかりや長介由来の一席でした!見事である。白鳥師匠の天才的創作能力に拍手喝采だった。