桃月庵白酒独演会

桃月庵白酒独演会に行きました。「短命」「犬の災難」「お見立て」の三席。開口一番は4番弟子のぼんぼりさんで「真田小僧」だった。

「短命」。隠居が伝授する悔やみ、モゴモゴ言う方法が愉しい。寿限無でも出来るんだ!と言って、実践してみせるのも可笑しい。どうして短命なのかを八五郎に噛んで含めるように説明する段。手と手が触れる!おまんまはない!布団もつける!さあ、どうする?とヤケッパチなのには笑った。

「犬の災難」。「猫の」ではなく、「犬の」は現役の噺家さんでは白酒師匠でしか聴いたことがない。確か、志ん生師匠が演った録音があるはずだ。古今亭の型なのかも。

鯛が鶏肉に変わるだけでなく、主人公が酒が大好きという表現の仕方が違うのが面白い。「猫の」の場合は、色々と理由を細かくつけて、自分に言い聞かせるように少しずつ酒を注いで飲んでいたら、五合があっという間になくなっちゃうが、「犬の」は単純明快。酒が好きだから、友人が鶏肉を買いに行っている間に、どんどん遠慮なく飲んじゃって、一滴もなくなってしまうという…。畳にこぼしもしない。水をこぼして、犬が一升瓶を蹴飛ばしたという設定に無理やりするところが何とも楽しい。

「お見立て」。まず、杢兵衛大尽が強烈なキャラクターで、それだけで笑わせてくれる。これじゃあ、喜瀬川花魁も仕事とはいえ、行くのが嫌になり、拒否するだろうなあと思う。「どうして行かなくちゃいけないの?」に、喜助が「仕事ですから」と答えるのはもっともだけど。

喜瀬川が死んだと聞いて、「おっちんだ?」と言って、オオカミのような、フクロウのような物凄い声をあげて号泣するのは、喜助も笑いを堪えるのに大変だったけど、笑ってしまう。だけど、杢兵衛大尽がちょっと可哀想にもなる。

喜瀬川と杢兵衛の間に挟まった喜助は本当にご苦労様である。山谷の寺まで案内して、めぼしい墓を探して、花と線香の煙でいっぱいにして。喜瀬川から何某かの祝儀を貰わないとやってられないだろうよ。吉原の若い衆はつらいよ、である。

前の記事

桂二葉独演会