一龍斎貞鏡勉強会「赤穂義士傳之巻」来春の真打昇進に向けて、足固めに入った!
お江戸日本橋亭で「一龍斎貞鏡勉強会」を観ました。(2022・03・15)
貞鏡さんが来年春に真打に昇進する。その足固めの会という意味合いだろうか。とても気合いが入っていて、義士伝を2席もネタおろしした。
去年、師匠であり、父親である八代目貞山先生を亡くした。七代目が八代目の実父であり、それを考えると、九代目を継ぐのは彼女になるのだろう。
貞花先生の預かり弟子となった。この勉強会、今後も4カ月ごとに続くらしいが、毎回貞花先生を助演に迎え、一龍斎のお家芸である「赤穂義士伝」をネタおろししていくというから、やはり気合いが入っているのだろう。
まずは本伝、「殿中刃傷~内匠頭切腹」。しっかりと噛みしめるように読んだ。刃傷では、吉良の露骨な意地悪をじっくりと演じる。内匠頭切腹では、しんみりと、しっとりと、浅野家断絶の悔しさ、無念を巧みに描いた。
冒頭に吉良の歌の部分を度忘れするというミスがあって、二席目のマクラで「稽古のときはスラスラと出てくるんですが、本番は怖いですね」と振り返っていたが、その度忘れに動揺することなく続けられたのは、彼女の高座度胸の良さかもしれない。
二席目は銘々伝、「安兵衛婿入り」。一転して、明るい高座に。笑いも多く取り入れ、愉しめる読み物になっていた。「グズ安」「ケンカ安」と呼ばれていた男が、高田馬場の駆け付けで18人斬りをやってのけるところから、痛快。
堀部家に婿入りして、赤穂藩の武士になり、内匠頭と対面するところも堂々としている。12カ月の組盃をグイグイと飲み干していく様子、それを見て殿が大層ご満悦になる様子、そして、舞を舞った後に、そのまま寝入ってしまう様子、何とも安兵衛の可愛さが上手に描けていた。
内匠頭が「良き家来を持った」と言うのも、さもありなんと思う高座だった。