【渋谷らくご 正月興行】謹賀新年。今年もシブラクで大いに楽しまさせていただきます(中)

配信で「渋谷らくご 正月興行」を観ました。(2021・09~11)

1月9日(土)20時

「新しい学校寄席」「雛鍔」柳家緑太

緑太さん、おしゃべり。KDDIが売り出し中の5Gを使って、気合いを入れてリモート学校寄席を実施した顛末。オンタイムが売り物なのに、5秒遅れの反応に、まだまだ最新デジタル技術の限界が。小学校に出向いての学校寄席でも、やる気のない小学生に小はぜさんと悪戦苦闘したエピソードが面白い。仕草クイズに「エロ本読んで、ブスを探しているところ」って!今どきの小学生は。

1月10日(日)14時

「浮世根問」立川談洲「そば清」春風亭昇羊「木乃伊取り」柳家小里ん「長崎」瀧川鯉八

談洲さん、学校寄席の欠陥指摘鋭い。現代版浮世根問、視点と切り口に拍手喝采。twitterの「バズる」とは?Instagramの「インスタ映え」は古く、「チる」が新しい。TikTok、シモキタという街、リモート合コン、牛丼屋で独りで食っているサバサバ系女性…。痛快なり。

昇羊さん、株価上昇。20枚のときは蕎麦をたぐるスピードを見せつけるかのような仕草。30枚のときは手と口の動きが全く見えないことでスピードを表現。50枚のときは食べる仕草なしで、あと1枚の苦しみを強調。メリハリをつける工夫が素晴らしい。

小里ん師匠、飯炊きが似合う。豆だらけの掌で私の手をギュッと握ってくださいな。すごく想像できる。鯉八師匠、「ピンチをチャンスに」。男女の恋心の表裏を描きつつ、長崎観光案内になっている名作である。

1月10日(日)17時

「くじ悲喜」立川吉笑「名医と名優」田辺いちか「試し酒」雷門小助六「落語の仮面第二話 嵐の初天神」三遊亭粋歌

吉笑さん、この噺大好き。残り三枚の籤たちの擬人化、あっぱれ。どうせ、ティッシュ。自分が何者か確かめたい衝動。ティファニーで大逆転。シドニー五輪の哀しい過去。まさに悲喜こもごも。

いちかさん、「講談は怒りの芸」。眼科医・半井源太郎と役者・中村歌右衛門の友情物語は何度聴いても良い。「万が一のときは必ず駆けつけて御礼をする」という歌右衛門の言葉を信じた半井と、それを実行した歌右衛門。中村座で芝居を中断しても待っていてくれた観客もまた素晴らしい。男の友情はかくありたい。

小助六師匠、きっちり。一杯、二杯・・・と飲んでいくたびに調子が上がっていく久蔵。唐土の儀狄や丹波の酒吞童子のお喋りも愉しい。

粋歌さん、「落語の仮面」もうすぐコンプリート。前座落語グランプリでの三遊亭花の「初天神」熱演。甘い物など贅沢だった頃の金坊の“飢餓の心”の表現が表情含め、素晴らしい。月影先生にスパルタ教育されて、魂の叫びとなったところ、「団子が食べたい」という願いがヒシヒシと伝わる。

1月11日(月)14時

「出来心」柳家あお馬「天狗裁き」立川こしら「紋三郎稲荷」入船亭扇辰「土橋萬歳」笑福亭羽光

あお馬さん、祝・駒澤大学箱根駅伝優勝。褌一本じゃなくて、おじやも食べる泥棒先生。泥棒に入られた貧乏長屋の住人・八五郎も「ほんの出来心」。扇辰師匠、いぶし銀。山﨑平馬のちょっとした悪戯心が発展しちゃう面白さ。「お狐さま」になって下にもおかない歓待を受けるが。サゲの本物の狐の一言がファンタジー。

こしら師匠、20時が日付変更線!見ていない夢を物語らんために、女房は息子を連れて離縁しちゃうし、糊屋の婆殺人容疑で役人に追われるし、大変!謎の女性メアリーと恋仲なるが、自分はなぜかジョーンズだし。実はメアリーの正体は・・・、波瀾万丈。

羽光さん、初トリ。テーマはキレる番頭の衝動殺人。若旦那を見張り番の定吉がキーマンとなり、若旦那vs番頭の展開。そこに幇間の一八が絡んで。遊びに溺れる若旦那を真人間にしようとする番頭の思いがほとばしりすぎて…。