よせによせ

NHK総合テレビで「よせによせ」第4回と第5回を観ました。
桂二葉さんと春風亭一花さんが案内役を務める30分の演芸番組、今回からテーマが設定された。第4回は「傘」。
サスペンダーズのコント。他人のモノと間違わないようにビニール傘に持ち手のところにXマークをしていたら、同じ考えの人がいて起こったトラブルをユーモラスに描く。冷静な男の買い物袋に入っているのが、ナンプレの雑誌とワインというディテールも可笑しいし、もう片方の男がやたら熱弁をふるい、買った果物ゼリーをあげてでもじゃんけんで勝負しようとして、その結果すべてを失ってしまうのも笑えた。
石黒サンペイ、ヨンペイ。パントマイムクイズの答えを傘の上で廻すのけれど、「重ね着」はネギ、映画「カサブランカ」はブランコ、「相合傘」はお猿さんのアイアイという…。パントマイム主体というより、その後で傘の上で何を廻すかで勝負しているのが良い。
桂二葉さんの「金明竹」は前半の「骨皮」の部分。猫の断りようで、「マタタビを舐めさせて寝かせている」が、旦那に目利きしてほしいと越後屋が来たところで、定吉は「股に足袋を履かせて寝かせています」というクスグリが新鮮で面白かった。
「勝手にシアター」は映画「青春の夢」(1920年ポール・パウエル監督)から。桂九ノ一さんの「伝統の一戦」は、どんな大雨の後でも神業的に甲子園球場のグラウンドを整備してしまう阪神園芸さんを主役に据えた。鈴々舎美馬さんの「夢のような国」は、雨による様々なトラブルやアクシデントを全てアトラクションに換えてしまう発想がユニークだ。
第5回のテーマは「お父さん」。
ファイヤーサンダーのコント。5年前に父親に反抗して、ミュージシャンになるために家出した息子が成功して実家に帰ってきたという設定。許しを請う息子だが、実は父親はミュージシャンの息子の熱烈なファンになっていて…。「一人のファンでいたいから、縁を切ってくれ」という逆転の発想が面白い。
林家八楽さんの紙切り。お題は「お父さんあるある」で、鋏試しで「眼鏡をかけながら眼鏡を探すお父さん」。そして、客席からの注文で「おーい、お茶」。さらに「寝っ転がってNHKテレビを観ているお父さん」。及第点。
1980年正月のNHK「お好み演芸会」から、三遊亭円弥師匠の「初天神」の凧揚げのシーン。演出がレギュラーメンバーによるリレー落語になっていて、十代目桂文治「堀の内」に続いての高座。円弥師匠の次が桂文朝「蛇含草」、四代目三遊亭金馬「居酒屋」と続くという…。昔は日曜お昼に放送していた「お好み演芸会」、懐かしく思った。
柳家やなぎ師匠の新作落語「となりのお父さん」から、オペラ歌手の守谷由香さんへリレーする面白い組み合わせ。北海道出身のやなぎ師匠ことヒロユキ君の隣に住むミノル君の牧場では、お母さんが乳搾りの名人で、お父さんはただの酔っ払い。そこへ学級新聞の取材でヒロユキがインタビューにやって来て、いちいち「スクープだ!」と叫ぶのが可笑しい。ミノル君のお父さんが一升瓶を持ってグイグイ酒を飲むのが、権太楼師匠の「試し酒」にリンクするのも愉しい。そして、これを受けた守谷さんがプッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」のメロディーで替え歌にして歌うという…。趣向が良い。
「勝手にシアター」。アメリカの教育用映画「法律を守ろう」から。月亭希遊さんの「人生は〇〇のようだ」は、ソフトボールを持ちながらラグビーや相撲といった異なるスポーツに喩えて頓珍漢な説教をするお父さんが愉快。三遊亭好青年さんの「歴史が動いた日」は、明智光秀が織田信長を討つために本能寺に出向くきっかけになぞらえた。
第1回から続いている「勝手にシアター」は、第4回から明らかに笑いがレベルダウンしているのが残念だ。

