新宿末廣亭七月上席 三遊亭遊雀「牡丹燈籠 お札はがし」

新宿末廣亭七月上席夜の部千秋楽に行きました。今席は三遊亭遊雀師匠と神田伯山先生が交互に主任を勤め、前半は「四谷怪談 お岩誕生」、後半は「牡丹燈籠 お札はがし」を、お化け屋敷プロデューサーの五味弘文さんの演出で演じるという特別興行だ。きょうは遊雀師匠が「お札はがし」を演じた。

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遊雀師匠の「お札はがし」。根津清水谷に住む萩原新三郎のところへ旧知の幇間医者の山本志丈が訪ねてきて、亀戸に臥龍梅を観に行こうと誘う。梅見の後、もう一軒付き合ってくれと言われ、牛込軽子坂の旗本・飯島平左衛門の娘お露が女中のお米と二人で暮している柳島の寮を訪ねる。

志丈が二十一歳の新三郎に会わせたかったお露は十七歳。初対面でお互いに一目惚れし、お露は新三郎に「また是非すぐに来てくださいね。私はあなたに会わなければ死んでしまいます」と言って、見送った。だが、新三郎も柳島に行きたい気持ちは強かったが、迷っているうちに三か月が経ってしまった。そこに志丈が訪ねてきて、「お露は流行り病で亡くなった。お米も看病疲れで亡くなった」との報告を受ける。「成仏できるように、念仏を唱えなさい」と言われた新三郎は「会いに行けば良かった」と後悔した。

ある晩、カランコロンという下駄の音とともに、牡丹燈籠を持ったお米、そしてその後ろをお露が歩いてやって来た。「お会いしとうございました」。新三郎はお露が生きていることを喜び、お米とともに部屋に上げた。そして、毎晩やって来ては新三郎と時間を過ごし、やがて帰るという日が続いた。

人相見の白翁堂勇斎が新三郎の部屋から珍しく女の笑い声が聞こえるのに気がついた。朝になって、新三郎に「顔を見せてみろ」と言って、点眼鏡で覗くと、「お前はあと二十日で死ぬぞ。あの女は誰だ?」と問い詰める。新三郎は「飯島平左衛門様の娘、お露殿です。一緒になろうと思っています」。すると、勇斎は「あの女はこの世の者ではないぞ」。

新三郎はお露とお米が住んでいると言っていた谷中三崎村を訪ねるが、二人はどこにもいなかった。新幡随院の墓に行くと、お露とお米と書かれた角塔婆が立っていて、そこには牡丹燈籠が引っ掛けてあった。あれは幽霊なのか?勇斎に相談すると、新幡随院の良石和尚を訪ねてみよと言われる。そして、良石和尚は幽霊を閉め出すお札と海音如来の金無垢の仏像を授けられた。お露殿は恨んでいるのではない、慕っているのだ。諦めるのを待つしかない、と。

カランコロン。お露とお米がやって来た。「お嬢様、萩原様はお心変わりをされました。中へ入れません。お諦めください」「嫌じゃ。新三郎様にお会いしたい」。お米は新三郎の下男をしている伴蔵にお札を剥がすように依頼する。だが、伴蔵はお米たちがこの世の者ではないことが白翁堂から聞いて知っている。伴蔵は女房のお峰に相談すると、「百両、ふっかければ良い」という返事。もし、持ってきたらどうするのか。そのときは萩原様には申し訳ないがお札を剥がすしかないだろう、背に腹は代えられないという判断だ。

カランコロン。お米が「伴蔵さん」と訪ねてきたので、伴蔵は勇気を奮って百両を条件に提示した。「百両ですか。そんな大金はとても支度できない。お露様、お諦めを…」に、お露は「嫌じゃ、嫌じゃ。新三郎様に会いとうございます」。お米は伴蔵に「明晩、百両をお持ちします。それから、萩原様が身に付けている海音如来の仏像も抜き取ってください」。

伴蔵は新三郎を行水に誘い、胴巻に入っていた海音如来の仏像を偽の仏像にすり替えた。そして、カランコロン。お米は伴蔵に二十五両包みを4つ渡し、ニッコリと笑う。伴蔵は梯子を掛けて、新三郎の家の屋根に貼られたお札を剥がす。これでお露は新三郎の部屋に入ることが出来た。

すっかり寝入った新三郎を見下ろし、お露は「お会いしとうございました。なぜ心変わりをされたのですか。露は悲しゅうございました」。お米が「どうぞ、今宵は存分にお恨みあそばせ」と言うと、お露は「愛しや、新三郎様」と言って抱きついた。

翌朝、異変に気づいた白翁堂勇斎が駆け付けると、新三郎は苦しみ、悶え、虚空を掴んで倒れていた。そして、お露とお米の骸骨がそれにすがるように横たわっていたという…。特別興行に相応しい様々な演出が凝らされた初めて観る「牡丹燈籠お札はがし」であった。