【プロフェッショナル 生花店主・東信】命の花、心で生かす(2)

NHK総合の録画で「プロフェッショナル 仕事の流儀 生花店主・東信」を観ました。(2017年8月28日放送)

きのうのつづき

東には欠かさず続けていることがある。それは花の寿命を測る研究。東の花は長いもので1カ月、驚くほど長持ちすると評判だが、実際に何日で枯れるのか、どう枯れるのか観察し、記録する。

東が言う。

めちゃめちゃ好きな枯れ方してます。真ん中はパリッと、ここはバリッと生きていて、ここはクタッとなっている。花一輪で命の営みを感じられる。朽ちた後も、すごく綺麗だと思う。

花は咲いているときだけが美しいのではない。枯れていく様もまた美しい。そう考えるようになったのは6年前。大腸に悪性腫瘍が見つかったときのこと。

東が語る。

死を意識することによって生きていく、生きるということをしっかりと見据えていく。お花一輪一輪、花びら一枚一枚を大事にしなければいけない。大事にできないやつは、いい作品なんか作れるわけがない。

東は今、枯れる最後まで楽しんでほしいと、ある仕掛けを施す。それは寿命の異なる花をあえて組み合わせること。枯れやすい花の下に、枯れにくい花を挿し込む。さらに蕾を加えることで花が次々と咲き、死をより美しく引き立てる。

咲いて、朽ちて、さらにそれから咲いていく。営みです。生と死といいますか。命の縮図を見ているんですかね。「きょう、これぐらいもった」「あと、どれくらいもつんだろう」って。朽ちていくところに人間の命をグッと凝縮したものを見るんじゃないですかね。

つづく