【渋谷らくご 11月公演】6周年、おめでとうございます!(下)

配信で「渋谷らくご 11月公演」を観ました。(2020・11・13~18)

17日(火)18時

隅田川馬石「三軒長屋」(序)入船亭扇辰「阿武松」

馬石師匠、大ネタの発端を。ガリガリ宗次とヘコ半の喧嘩の仲裁に二階を借りにきたが、鳶頭のおかみさんの鉄火な性格がいい。小股の切れ上がったいい女というのは、こういうおかみさんのことをいうのではないか。お月見女という表現も好き。顔がまん丸で、鼻が団子で、ほっぺが柿、頭がススキ。薬缶が宙に飛ぶというのもいいねえ。

扇辰師匠、「三軒長屋」は1時間もかかるネタなのに(微笑)。力士なんて飯を食うのが商売みたいなものなのに、武隈親方は了見違いをしているという錣山親方の言い分、正しい。そして、情がある。長吉の身体を見て、「この人なら、相撲にはいい。いい~。いい~」。三遍繰り返すところがいい。

17日(火)20時

柳家あお馬「あくび指南」立川寸志「お血脈」春風亭百栄「マザコン調べ」笑福亭福笑「猫の恩返し」

あお馬さん、冥王星のあくびが今はハレー彗星のあくびに。風林火山のうちの山のあくびも可笑しい。吉原へツーッと行って、なじみの花魁にあくびを披露する件も愉しい。

寸志さん、インテリ。仏教伝来は538年(ゴサンパイ)と習ったが、今は552年が正しいとか。曽我氏と物部氏の争いからはじめる善光寺由来も珍しい。ルパン三世、栗貫は嫌い、山田康夫ならいい。

百栄師匠、計算し尽くされた見事な啖呵はもはや古典になってもいい。福笑師匠、どこが面白いかわからず。コロナネタで新作を創るのは難しい。失敗例か。

18日(水)18時

立川こしら「夢金」入船亭扇里「寝床」

こしら師匠、さすが。浪人者が連れていた女がブス!なぜか夜釣りの船に乗った田舎者まで加わって、無事に4人が向こう岸について、指名手配の浪人は御用になり・・・奇想天外な展開で、最後は堤防が決壊するという。

扇里師匠、上手さ。旦那の声の酷さは動物園の裏。ガンモドキの製造法、お不動様にはかなわない、7年前の番頭・佐平さんの悲劇。カムチャッカで鮭を獲っているそうな。

18日(水)20時

橘家文吾「紙入れ」古今亭志ん五「唖の釣り」雷門小助六「御神酒徳利」神田伯山「東玉と伯圓」

文吾さん、大器。「新吉を可愛がっているのは私が後ろで糸を引いているから。私のいいなりでいいの」。翌朝の旦那と新吉のちぐはぐなやりとりの面白さ。女は強いなあ。

志ん五師匠、似合っている噺。七兵衛さんが舌がつって口がきけなくなる様子。手真似でコミュニケーションをとる見回りの役人と七兵衛が愉快。

小助六師匠、鴻池のお嬢様全快までのフルバージョンをきっちりと。女房の入れ知恵の算盤占いが発端で、三度の占いが何とか辻褄が合う面白さがくっきりと出ていた。これだけちゃんと聴かせる技量はさすが。

伯山先生、久しぶりのシブラク。講談師が主人公の読み物で、しっかりと芸を受け継いでいく大切さを伝える。大坂で怠けてお梅に棄てられた伯海が、もう一度やり直そうと発起して江戸に出てきて、東玉の援護もあって成功する様子は、聴き手に勇気を与える話でもあると思った。やはり、講談界を牽引するには、この人の尽力なくしてはかなわない。