真夏の暑苦しい十席 柳家喬太郎「残酷なまんじゅうこわい」「極道のつる」

上野鈴本演芸場七月中席夜の部九日目に行きました。今席は柳家喬太郎師匠が主任を勤め、「真夏の暑苦しい十席」と題したネタ出し興行だ。きょうは「残酷なまんじゅうこわい」だった。
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喬太郎師匠の「残酷なまんじゅうこわい」。強情だった鉄ちゃんが「饅頭、怖い」と言って寝込んでしまったのを幸いに、仲間たちは「あいつのこと嫌いなんだ。懲らしめよう」と、饅頭各種(月餅、ひよこ、シウマイ饅頭も含む)を買って来て、枕元に置くと…。
鉄ちゃんは「目の前にあったら、死ぬ!…消せばいんだ。食べちゃえ!」。蕎麦饅頭、葬式饅頭、葛饅頭…次々と美味そうに食べていたが!突然、饅頭が喉に詰まり、その場に倒れてしまう。様子をうかがった仲間が「死んでいる!」。「だから、やめようと言ったんだ」「共犯だよ、一蓮托生だ」「俺はやろうなんて言っていない」と罪のなすりあいをはじめる。
逃げ出した男は馬に蹴られて死んじゃった。馬が怖いと言っていた。次に天井から蜘蛛が落ちてきて気絶して死んじゃった。蜘蛛が怖いと言っていた男だ。これで三人が死んだ。「お前がやろうと言ったんだ。黒幕はお前だ!罪を被れ!」とある男がもう一人の男に言って、蜂蜜を掛けて、そこの無数の蟻が集まり、それもヒアリで、これまた死んでしまった。
「今度は俺を殺す気か」と怯える男が、「蛙は怖くない。寧ろ、可愛い。蛙になりたい。蛙として殺してくれ」と言い出し、尻の穴にストローを突っ込こまれ、空気を吹きこまれる。そして、男は大きく膨れて、破裂して死んでしまった。最後に残ったのは、蛇が怖い六ちゃん。「ちっとも怖くない」と言いながら、帯が蛇になって身体中に巻き付き、首を絞められて死んでしまった。
すると、死んだはずの鉄ちゃんが「ビックリした。饅頭が喉につかえて死んだと思った」と目を覚ます。実は気絶しただけだった。そして、辺り一面に仲間の死骸が散乱しているのを見て、「何だ、こりゃあ!一人残らず死んでいる…ざまあみろ。本当に怖いものなんか言うわけないだろ…本当に怖いのは…」と言った瞬間、最中(もなか)が出てきて六ちゃんが絶叫して死んでしまうという…。ナンセンスミステリーとでも言おうか、面白かった!
上野鈴本演芸場七月中席夜の部千秋楽に行きました。今席は柳家喬太郎師匠が主任を勤め、「真夏の暑苦しい十席」と題したネタ出し興行だ。きょうは「極道のつる」だった。
「都々逸親子」柳家小ふね/奇術 ダーク広和/「安兵衛狐」柳家さん花/「おすそわけ」三遊亭円丈/漫才 ニックス/「千早ふる」橘家文蔵/「鉄千早」柳家小ゑん/中入り/漫談 寒空はだか/「弟子の強飯」春風亭百栄/「浮世床~本」古今亭文菊/太神楽 翁家社中/「極道のつる」柳家喬太郎
喬太郎師匠の「極道のつる」。舞台は反社会勢力のイナバ組。ウメハラ組と抗争している。組長は若い者で真っ直ぐなバカ、ヒデをこよなく愛している。ヒデを呼び出し、「知識を増やしてやろう」と「首長鳥がなぜ鶴になったのか」を教えようとするが…。
ヒデは国語的な知識があると言って、「千早ふる神代もきかず竜田川からくれないに水くくるとは」を得意げに披露するのは、中入り前の文蔵師匠の高座を受けてのもの。諺も知っていると言って、「濡れたエロ本を乾かして読む」、何のことだかよくわからないのが面白い。
「鶴を知っているか?首の長い鳥だよ」「JAL!」「昔は何と言っていたか知っているか」「ANA?」「首長鳥だよ」「スターフライヤー!」。もうここから可笑しい。「ある白髪の老人が浜辺に立って」「浜辺美波?」「頭の白い爺さんが遥か沖の方を眺めていた…沖、わかるか?海の向こう」「アメリカ?」「アメリカと日本の海の中間点」「雄の首長鳥がツーッと飛んできて松の木にポイと止まった。雌の首長鳥がルーッと飛んできた」「鳥はルーッとは飛ばないと思う」「街中で牛は褒めないし、傘を差しても崖は飛び降りられないんだよ」。
鶴の謂れを教えられたヒデは誰かに教えたくてしょうがない。街中に出て、見知らぬ人を掴まえる。「JALは昔はJALと言わなかった。一羽の雄のJALがジャーッと飛んで来て、ルッと止まった。アメリカとの中間地点を坂本龍馬みたいな爺と近藤勇みたいな爺が眺めていた」。
わからなくなったヒデは引き返す。「幕末の老人じゃない!白髪の…吉川晃司みたいな老人だよ」と教わったヒデ。さっきの男に「吉川晃司と浜辺美波が海の中間地点を眺めていた。ピーッと飛んで来て、チッと止まった。ピーチになっちゃうじゃないか!」。あくまで航空会社にこだわるところが面白い。
ヒデが再び事務所に戻ると、組長が倒れている。「ウメハラ組の奴らが襲って来た…もうすぐ、ウドウ組から電話が来る…仇を討ってくれ…ヒデはバカだったが、可愛かった」と言って命を落とした。組長の首から血がツーッ、事務所の電話がルーッ。柳家喬太郎しか出来ない客席をひっくり返すような爆笑高座だった。


